展覧会

Follow your rhythm.-都市の構成要素としてのリズム

2020.8.16(日)~ 8.31(月)

Follow your rhythm.—都市の構成要素としてのリズム

音楽で場所を検索する地図サービスを展開するPlacy。

「Forget the reviews. Follow your rhythm.」をテーマに、レビューやランキングでは汲み取れない場所の固有性を、そこに蓄積された音楽情報を通して表現し、都市生活者の行動を変容させる。それは、既存のスコア上では一見均質的に評価される空間の「場所性」を炙り出し都市の我有化もたらすであろう。Placyはシミュレーションから削ぎ落とされた「リズム」に目を向け、都市の検索システムを再編する。

2020年4月にはJR東日本「東京感動線」と連携し、山手線各駅における音楽趣向を反映したパンフレットを作成。その後も全国各地の地方自治体と連携しながら、音楽を通して各エリアの固有性を伝える取り組みを行なっている。また、Placyに蓄積された音楽データを元にサウンドアーティストで都市音楽家の田中堅大と絵葉書レコードを作成。急速に変わりゆく渋谷を「音」の観点からアーカイブし、絵葉書レコードに焼き付けた。Placy代表の鈴木は2020年8月より、Wired Japanにて連載「Cultyvatying CityOS」を行なっている。

そしてこのたび、待望のPlacy展示「Follow your rhythm.—都市の構成要素としてのリズム」を六本木ヒルズ森タワー52階・東京カルチャーリサーチにて開催。山手線各駅のパンフレット、絵葉書レコード、そしてPlacyのデータを元に田中堅大が作成した「六本木の音」が展示される。空間デザインは黒沼 舜。

漠然と感じる都市のつまらなさ。どこに行っても既視感のある風景で、金太郎飴的な経験が提供される。私達はこの原因が、都市の空間レイヤーと意味レイヤーの乖離にあると考えている。どんなに素敵な空間が都市に存在しようとも、そこに蓄積された意味が情報として紐づいていないため、 体験者としての私たちは、極度に単純化された "レビュー"や"ランキング"で行き先を決めなければならない。そんなフラストレーションから私達は音楽で場所を探せる地図サービスを開発している。ハックされ標準化してしまった指標ではなく、 自分の感覚を元に場所を探せる体験を提供する。

都市には「リズム」がある。長い時間をかけて蓄積された文化や物語が、その場所の「リズム」となって滲み出す。それは都市の色気となり愛嬌となる。都市を探索していると、時折、まるで磁石の様に惹きつけられる場所に出会うことがあるが、それは、まさにその場所の「リズム」とあなたの「リズム」が調和している証である。ちょっぴり派手でキラキラした都市にも、ドロッとした人情味溢れる都市にも、きっとあなたのリズムにぴったりあった場所が待っているはずである。レビューやランキングだけでは汲み取ることが難しい、「あなたのリズムが流れる」場所 を見つけてみませんか?

都市を構成する要素は何か? この質問への答えは人によって大きく異なるだろう。道路や建物など物理的なものを挙げる人もいれば、匂いや音など感覚的なものを挙げる人もいる。シンプルに見えるこの問いかけは、実はさまざまな問題をひもとくヒントを握っている。

それはあなたが別れ道でなぜ右を選んだのかといった少しクサくてロマンチックな問題から、店舗の出店計画のような実務的な問題まで、守備範囲も広い。もちろん、人体を解剖して各々の器官について考えても、人間について理解できないのと同じで、構成要素を洗い出すだけで都市を完全に理解できるとは思っていない。

ただ、都市という定義すら難しいものに対し、それをつくっているものから考え始めてみてもバチは当たらないと思う。だが書き出してみると、案外難しいことに気づく。道路、建物、匂い、音、風、信号、公園、若者、高齢者.…..と、いくつ要素を挙げてもキリがない。都市には無数の要素がある。

(Placy代表鈴木執筆 Wired Japan 「Cultivating CityOS」より)

■Kenta Tanaka

1993年、東京都生まれ。ギタリスト/サウンドアーティスト/都市音楽家(Urban Composer)。都市論を音楽/サウンドアート制作に応用することで、都市を主題に音を紡ぐ「都市作曲(Urban Composition)」の確立を模索している。個展として、都市の記憶を追憶するサウンドインスタレーション「Urban Reminiscence——Sound, Object, and Rhythm」Sta.・東京(2020)を開催。主な展示作品に「Algorithmic Urban Composition」Listening Room CCRMA Stanford・スタンフォード(2019年)など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程エクス・デザインプログラムでの研究後、ベルギー・ゲント王立芸術院のEuropean Postgraduate in Arts in Sound(EPAS)に在籍し、音と都市空間の関係性に着目したサウンドアートの実践と研究に従事している。ギターとフィールドレコーディングを中心とした音楽制作をはじめ、音楽を取り巻く環境への批評zine『jingle』の制作、蓮沼執太フルフィルへの参加、ファッション/ダンス/映像作品への音楽提供など、音楽を中心として多岐に渡る活動を展開している。

■クロヌマシュン

1995年、兵庫県生まれ。建築家。
人が主体的に空間や都市と接することで、自ら意味づけを行ったり自然と愛着がわくような建築やデザインのあり方を模索している。
Archasm international commpetition Tokyo Anti-Library (2018)にて、Honorable mention受賞。
キルコス国際建築設計コンペティション2018にて、山口陽登賞金賞、平野俊樹賞銅賞。
早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻時に「Gordon Matta-Clark展 Mutation in Space 」(2018)の展示計画に参加。株式会社Placyによる絵葉書レコードのグラフィックデザインを担当。

■清水快 / Kye Shimizu

1996年生れ。プログラマ/テクニカルアーティスト
プログラミングによる表現で舞台やインスタレーション、アプリやシステム開発などを行う。

■湯本遼/Ryo Yumo’o

1997年生まれ. プログラマ/サウンドエンジニア
サウンドインスタレーションなど音楽作品を中心にプログラミング, システム開発を行う。

東京カルチャーリサーチとは
絶え間なく変化する東京のカルチャーシーンを発見・研究し、その紹介をする小展示スペースです。東京が生み出すカルチャーの中でも、特にマンガ、ゲーム、アニメ、メディアアート等を深く掘り下げ、「東京シティビュー」としての独自リサーチとセレクションに基づき「東京の文化的特異点」を感じる作品を不定期で展示していきます。


主催
Placy、東京カルチャーリサーチ
基本情報
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